何でもかんでも略せば良いってもんじゃないよな。
Numeronymとは
エンジニアをやっていると、ある日ふと遭遇する言葉がある。
Numeronym(ニューメロニム)。
単語の最初と最後の文字だけ残して、間の文字数を数字にする略語だ。
たとえば有名なのはこれ。
- i18n(internationalization)
- l10n(localization)
- a11y(accessibility)
- k8s(Kubernetes)
初めて見た i18n の衝撃
あるドキュメントを読んでいたときのことだ。そこにこう書いてあった。
i18n support
最初、まったく意味が分からなかった。
「i18nって何?」
アイ…じゅうはち…エヌ?
プロトコル?
ライブラリ?
新しいフレームワーク?
結論から言うと、ただの internationalization(国際化) だった。
分かってしまえば「なるほど」なんだけど、 分かるまでの数分間、完全に置いていかれる。あの感覚は、いまでもよく覚えている。
略語は書くのが速い。でも読むのは遅い。
Numeronymの一番の問題はこれだと思う。書く人は楽。読む人は大変。
たとえばこんな文章。
Improve a11y and o11y for k8s i18n pipeline
エンジニアなら意味は分かる。でも、脳内ではこういう処理が走る。
- a11y → accessibility
- o11y → observability
- k8s → Kubernetes
- i18n → internationalization
つまりこれは、略語のデコード作業だ。しかもこれ、文章を読むたびに発生する。ドキュメントって本来、読む人の負担を減らすためのもののはずなんだけどなあ、といつも思う。
そして始まる「なんでもNumeronym」
さらに困るのは、 この文化にハマる人が一定数いることだ。ある日ドキュメントを読んでいたら、こう書いてあった。
Improve c12n and p13n for better o11y
正直に言う。もう普通に書いてくれ。
containerization?
personalization?
たぶんそうなんだろうけど、ここまでくるとクイズだ。
略語は文化になったときだけ強い
ただ、誤解されたくないのだけど、僕は すべてのNumeronymが嫌いなわけではない。むしろ、a11yとかy2kとかはよく使う。
このあたりはもうエンジニアの共通言語になっている。だから違和感がない。でも、それ以外は大体こうなる。
「誰かが作ったが、誰も使っていない略語」
そして数年後、その略語の意味を知っているのは、書いた本人だけになる。
略語は少ないほどいい
結局のところ、僕の考えはシンプルだ。
略語は少ないほどいい。
覚えるNumeronymなんて、せいぜいこれくらいで十分だと思う。
- i18n
- l10n
- a11y
- k8s
これ以上は、普通に単語を書いた方が読みやすい。少なくとも、未来の自分と、まだ知らない誰かのためには。もし将来、僕の書いたドキュメントを誰かが読んだときに、
「分かりやすいな」
と思ってくれたら、それでいい。少なくとも、「なんだこの略語…」と思われるよりは、ずっといい。
